性器クラミジアにジスロマックが【効かない】4つの原因と対処法

ジスロマックが効かない 薬品知識

1週間以上経っても症状が良くならないときは要注意

クラミジアの症状は、ジスロマックを服用した後、数日~1週間程度で和らいでくるのが一般的です。ジスロマックは性器クラミジアに対する90%以上の有効率が確認されている薬です。 適切に使用すれば「効かない」という事態は本来は起こりにくいはずです。従来の抗生物質とは異なり、1000㎎の錠剤を1回で服用するだけなので飲み忘れのリスクもありません。

にもかかわらず、1週間以上経ってもクラミジアの症状に改善が見られない場合には、ジスロマックが正常に効果を発揮していない可能性があります。

ジスロマックが効かない4つの原因

クラミジアに対してジスロマックが効かない原因としては、以下が挙げられます。

① 嘔吐や下痢で有効成分が排泄されてしまった。

効かない原因の1つとして、嘔吐や下痢などの副作用で体内に有効成分が十分吸収される前に体外に排出されたというものが挙げられます。ジスロマックは幅広い抗菌作用(抗菌スペクトラム)をもっているので、クラミジアのように明らかな病原性微生物だけでなく、腸内細菌にも影響を与えることがあります。腸内細菌のなかには、便通を維持したり消化吸収などに有益な作用をする種類の乳酸菌に代表される細菌類も生息しています。

ところがジスロマックの有効成分の影響で、腸内細菌まだ抗菌作用を受けると、消化管のバランスがくずれることで嘔吐や下痢などの副作用が出現することがあります。そのためジスロマックを服用しても効かない、という事態が起こりうるわけです。吸収にかかる服用後3時間は嘔吐しないように留意し、場合によっては胃腸薬を服用するなどして対策を立てておくことをお勧めします

② クラミジアが重症化している。

嘔吐などの副作用もなかったのに、ジスロマックが効かない場合もありえます。ジスロマックは1回服用するだけで体内で1週間程度、高濃度で有効成分が残留しつづけるのでほとんどの場合、体内からクラミジアは根絶され治癒します。しかし残念ながら重症化してしまって、クラミジアの数が増加しすぎていたり炎症範囲が拡大していたりすると、ジスロマックを服用しただけでは効かないことがあります。

クラミジアが重症化すること自体はそれほど珍しいことではありません。症状が軽いと放置していたり、婦人科や泌尿器科で治療することに心理的抵抗が大きかったりすると、腹膜炎や肝周囲膿瘍などの合併症に発展し深刻な事態を引き起こすことが懸念されます。

そもそもクラミジアに罹患しても、男性では50%・女性では実に80%近くが無自覚のまま経過すると推測されているほどです。自覚症状が乏しいなら放置しておいても大丈夫ではないか、と考える方がいるかもしれません。しかしクラミジアに自然治癒を期待するのは現実的ではありません。原因菌であるクラミジアを抗生物質で根絶して初めて完治することができます。放置しておけば感染範囲も性器やその周辺から、泌尿器や腹腔内臓器などに炎症が波及し自覚症状が強く表れた段階ではジスロマックの服用だけでは効かないようになり、治療には手間も時間もかかり身体的精神的苦痛も覚悟しなければなりません。長期的には不妊症のリスクも覚悟する必要があります。

③ 以前感染したクラミジアの菌が体に残っていた。

もしクラミジアの兆候を見逃すことなく、医師からクラミジアの確定診断を受けて処方されたジスロマックを服用したのに根治しなかった場合体内から完全にクラミジアが根絶されていない可能性を想定する必要があります。

クラミジアは一回感染しても、生涯免疫がつく感染症ではありません。一度罹患してジスロマックで症状を鎮静化できても、耐性菌が生息している可能性があります。耐性菌とは抗菌薬に対して耐性を獲得して、薬が効かないようになる微生物のことを指します。世界的にも抗生物質の投与と、耐性菌の出現は公衆衛生上の大きな問題となっているのです。

特に淋病ではほとんどの抗生物質が効かない、「スーパー淋菌」の出現が危険視されています。クラミジアは耐性菌が出現するリスクは、低いとされているものの、抗生物質の不適切な投与で耐性を獲得するリスクがあるのは確かです。自覚症状が治まったなどの理由で、勝手に自己判断で薬の服用を中止した経験をもっている場合は、体内で耐性菌が生息している可能性が否定できません。過去に中途半端に抗生物質を服用した記憶がある方は、効かないリスクに要注意です。

④ パートナーから再感染してしてしまった。

クラミジアは感染しやすいけど自覚症状がない性病になります。クラミジアは感染力が強いため、避妊具を使用していないのであれば1回の性行為で50%の確率で感染するといわれています。そのため効かないと感じている場合には気付いていないだけでパートナーが感染していて、治ったらパートナーからまたうつされるというピンポン感染を繰り返している可能性があります。

性病への感染をカミングアウトするのは勇気のいることかもしれませんが、お互いの為にも早めに話して一緒に治療をすることが望ましいです。そして完治したと医師から判断されるまでは性行為を控えて、感染しないようにしなければなりません。避妊具を付けても感染リスクは免れません。少しでも不安要素をなくしたいのであれば、性行為をしないことをおすすめします。

ジスロマックが効かない場合の対処法

ジスロマックが効かないときには、医療機関を受診して専門の医療従事者からの指示を仰ぐほかありません。
嘔吐による成分吸収の低下が原因で効かない場合、また同じ量のジスロマックを服用すると、過剰投与になって作用が強くなり過ぎてしまうおそれがあります。その場合には、服用の間隔を空けたり、用量を調整したりなど、医師からより専門的な指示を受ける必要があります。

クラミジアの重症化や耐性化によって効かない場合には、他の抗菌薬を用いた別の治療が必要になることがあります。淋菌など他の病原体が感染していた場合も同様です。

いずれにせよ第一選択薬であるジスロマックが効かない場合には、第2、第3の選択肢を医師に示してもらう必要があります。症状が改善しない場合には、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

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